「JAは農家から搾取している」
この言葉、SNSやコメント欄で本当によく見かけます。

もちろん、JAのやり方に不満を持つ農家がいること自体は否定しませんし、改善すべき点があるのも事実でしょう。ただ、個人的にずっと引っかかっていることがあります。

それを言っている人たちは、総代会資料を見た上で言っているのだろうか?
という点です。


総代会資料は「組合員なら誰でも見られる」

JAの総代会資料、いわゆる決算資料や事業報告書は、基本的に組合員全員が閲覧可能です。
特別な裏資料でもなければ、役員だけが見る秘密文書でもありません。

そこには、

  • 事業別の収支(営農・金融・共済など)
  • 利益が出ている部門、出ていない部門
  • どこでどれだけコストがかかっているか

といったことが、少なくとも「搾取かどうか」を語るには十分な情報量で載っています。


営農部門の利益は、正直ほとんど出ていない

総代会資料を実際に見たことがある人なら分かる話ですが、
営農部門が大きな利益を出しているJAはほぼありません。

むしろ多くのJAでは、

  • 営農部門はほぼトントン、もしくは赤字
  • 黒字を出しているのは金融・共済部門
  • 営農は「利益を出す部門」ではなく「支える部門」

という構造になっています。

つまり、「JAが農家から搾取して大儲けしている」というイメージと、決算数字の実態はかなりズレているわけです。


もし資料を見た上で言っているなら、それはそれで理解できる

仮にですよ。

  • 総代会資料を確認した
  • 営農部門の数字も理解した
  • それでも「この構造は農家に不利だ」「間接的な搾取だ」と判断した

というのであれば、
「まあ、そういう考え方もあるよね」とは思えます。

少なくとも、議論の土台には立っている。


では、資料を見ていない場合は何を根拠にしているのか

一方で、総代会資料を見ずに「JAは搾取している」と断じているとしたら、
正直、何を見てそう感じているのかが分からないのです。

  • 手数料が高いから?
  • 買取価格に不満があるから?
  • 職員の給料が出ている=儲けていると思ったから?
  • ネットやYouTubeの強い言葉をそのまま信じたから?

それらは「不満」や「感情」としては理解できますが、
搾取という強い言葉を使う根拠としてはかなり弱い

数字を見れば、少なくとも
「営農部門で農家から利益を吸い上げている」という単純な構図ではないことは分かるはずです。


問題は「搾取」ではなく「構造が分かりにくい」ことではないか

個人的には、問題の本質はここだと思っています。

  • 自分の出荷物がどこでどうお金に変わっているのか分かりにくい
  • JA全体の収益構造が組合員に伝わっていない
  • 金融が儲かっている=農業で儲けているように見えてしまう

この「分かりにくさ」が、不信感を生み、
それが「搾取している」という言葉に変換されている。


だからこそ、まず総代会資料を見てほしい

JAを擁護したいわけでも、批判を封じたいわけでもありません。
ただ一つ言いたいのは、

総代会資料を見ずに語るには、このテーマは重すぎる

ということです。

見た上で不満を言うなら、それは建設的な議論になります。
でも、見ずに「搾取だ」と断じてしまうと、話はどうしても空中戦になる。

JAに不満があるなら、
まずは数字を見る。
その上で「ここがおかしい」「ここは改善すべきだ」と言う。

その方が、よほど農家のためになるんじゃないでしょうか。