「この仕事は、誰の財布から自分の給料が出ているんだろう?」
これを意識したことがある人は、案外少ないかもしれません。
でも実は、ここをどう認識しているかで、仕事への向き合い方やモチベーションはかなり変わってくる気がします。
農協の収益構造を冷静に見ると
農協の収益の大半は、共済や金融事業から生まれています。
一方で、営農部門が直接生み出している利益は、正直言ってごくわずかです。
つまり、職員の給料の原資を突き詰めていくと、
多くの場合、「共済や貯金、融資を利用している人たち」から出ている
という構造になります。
じゃあ、営農で対応している農家さんは?
営農部門で日々対応しているのは農家さんです。
もちろん、農家さんが農協を利用し、共済に入ったり、融資を受けたりすることで、間接的には自分たちの給料に関わっているのは間違いありません。
でも現実を見れば、
- 農家の数は年々減っている
- 共済や融資のメイン顧客は、すでに準組合員が中心
という状況です。
そう考えると、営農で日々向き合っているお客さんは、
少なくとも「直接的に」自分の給料を支えてくれているお客さんではない
とも言えてしまう、少し歪な構図になります。
「誰のための仕事か」が曖昧になる
ここが一番ややこしいところです。
営農の仕事は、建前としては「地域農業のため」「組合員のため」。
でも、給料の出どころだけを見れば、実際には金融側のお客さんに食わせてもらっている。
このズレは、意識していなくても、じわじわと職員のモチベーションに影響している気がします。
- 頑張っても収益にはほとんど直結しない
- 数字を作っているのは別の部署
- それでも同じ給料体系の中にいる
「自分の仕事は、この組織の中で何を生み出しているんだろう?」
そういう感覚が、少しずつ薄れていく原因になっているのかもしれません。
モチベーションは「意義」だけでは続かない
「営農は儲からなくても、地域のために必要な仕事だ」
それは正論ですし、間違ってはいません。
でも、人はきれいごとだけでは長く走れないのも事実です。
「自分の仕事が、どこにどうつながって、自分の給料になっているのか」が見えない状態は、想像以上にやる気を削ぎます。
まだ答えは出ないけれど
この構造を「だから営農は意味がない」と言いたいわけではありません。
ただ、
自分の給料の出どころと、目の前の仕事の相手がズレている組織
というのは、モチベーション設計がとても難しい、という話です。
農協に限らず、同じような構造の組織は他にもあるはずです。
でも、農協はその歪みがかなり分かりやすく表に出ている組織だな、とは思います。