春になると新入社員が入ってくるはずなのに、最近の現場で目につくのは**「入ってくる人より辞めていく人の方が多い」**という現実です。
人が増えるどころか、年々減っていく。しかも、その穴を埋めるのは50代・60代の臨時嘱託。数字の上では「人員確保」と言えるのかもしれませんが、それが本当に組織の未来につながるのか、と疑問しか残りません。
その場しのぎの「臨時補充」
嘱託の方々は経験豊富で、現場の即戦力にはなります。ですが、これはあくまで一時的な延命策にすぎません。
- 新しい仕事のやり方を吸収して組織に定着させるわけではない
- 若手に技術や知識を受け継ぐ時間も短い
- そもそも数年でまた辞めてしまう
結局、「その年度をやり過ごすための応急処置」でしかないのです。
20年後、30年後を誰が担うのか
もし本気で20年、30年先も組織を維持していくつもりなら、若手の採用と育成に本腰を入れるはずです。
ところが現実は「新人より退職者が多い」「その穴を嘱託で埋める」。
これでは、長期的に人材の基盤をつくろうとしているようには到底見えません。
むしろ「先細りは分かっているけれど、自分の在任中さえ乗り切れればいい」という無言の意思表示にすら思えてしまいます。
残される世代の不安
いま30代、40代で働いている職員にとって、この構図は非常に不安です。
自分たちはまだ20年以上働き続けるのに、組織そのものが20年後に存在しているかどうかが怪しい。
「新人が増えない」=「未来をつなぐ人材が育たない」
「嘱託で穴埋め」=「延命だけして未来を諦めている」
そう映ってしまうからです。
終わりに
組織というのは「今を回すための人材」と同じくらい「未来を担う人材」を確保しなければなりません。
新入社員より退職者の方が多い状態を放置し、嘱託で延命し続ける組織の末路は、緩やかな縮小と消滅以外にないのではないでしょうか。
未来を諦めたような姿勢ではなく、「次の世代につなぐ意思」を示してほしい――現場で働く身として、切実にそう思います。